第24回となる今回からは、数回にわたり人間の視線の計測について紹介します。
例えば、視線の動きでコンピュータを操作することが可能です。また視線を計測することで、人間が注目しているものや集中度合いなどを推定することもできるでしょう。
人間の目はどういう動きをするのか?
■衝動性眼球運動(Saccade)
衝動性眼球運動は、本を読んでいるときや物を探しているときなどに生じる急速な眼球運動です。
■滑動性眼球運動(Smooth pursuit)
滑動性眼球運動は、ゆっくり動く視覚対象物の網膜像を網膜中心付近に維持するように、その動きに合わせて視線を滑らかに動かす目の動きです。
■輻輳開散運動(Vergence)
近くを見るときに両眼が寄る動きを輻輳といい、逆に遠くを見るときに両眼が離れることを開散といいます。
■その他の目の動き
その他にも網膜像のブレを抑えるための、前庭動眼反射(Vestibulo-Ocular Reflex)、視運動性眼球運動(Optokinetic Response)、回旋性眼球運動(cycloduction)などがあります。
視線計測の製品
■Tobii
視線計測ではTobiiの製品が有名です。動画1のように、ディスプレイに取り付けられたEye Trackerにより、ディスプレイの前に座っている人の視線を計測することができます。応用として、例えば、キーボードやマウスに加え、人間の視線を用いてPCを操作することが可能です。
Tobiiはグラス型のEye Trackerも製品化しています。机の前だけでなく、より広域での視線を計測することができます。例えば、自動車の運転中にどのような目の動きが生じていたかを分析することができます。また、店舗内で棚のどの商品がより注目されていたかなどを分析し、その情報をマーケティングに生かすことができます。
動画1 Tobii 固定型Eye Tracker
動画2 メガネ型Eye Tracker
■Pupil Labs
Tobiiの製品は非常に高価なものでしたが、ベンチャー企業がより安価なEye Trackerを製品化してきています。動画3のPupil Labsのメガネ型Eye Trackerは、1000ユーロ程度で購入することができます。Eye Trackingの製品が普及し、大量生産が可能になれば、さらに値段を下げることが可能なはずです。
動画3 Pupil Labs メガネ型Eye Tracker
「目は口ほどにものを言う」という諺にあるように、目の動きは人間の内なる感情、思考を反映しているものです。好意を持っている異性と話すときは無意識のうちにアイコンタクトが増えるといわれています。嘘をついているとき、動揺しているときも目の動きに何かしら変化が生じるはずです。興味のある方は、Googleなどで詳しく調べてみてください。
次回は、視線推定の手法の1つを紹介します!